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日本の食品・飲料メーカー業界就職ガイド:成功に導く基礎知識とキャリア形成のポイント




食品・飲料メーカー業界は、消費者の生活に密接に関わる重要な産業である。当業界は、長い歴史と共に多様な食文化を育んできた日本において、特にその重要性が顕著である。日々各企業において新商品の開発などが行われており、健康志向の高まりや環境問題への意識向上、テクノロジーの進化など、多方面からの影響を受けている。これらの変化は、企業に新たなビジネスチャンスをもたらすと同時に、業界全体の変革を推進している。


本記事では、食品・飲料メーカー業界の市場動向と業界構造、主要企業、そして各職種に求められるスキルについて深堀りする。さらに、食品業界におけるキャリア形成の道筋と、特に海外大学出身の学生が日本の当業界の企業で成功するための戦略的アプローチに焦点を当てて解説する。



1. 食品・飲料メーカー業界の基礎知識


1.1 業界概要と市場動向


日本の食品・飲料メーカー業界は、長い歴史と豊かな食文化を背景に成長を続けてきた。消費者ニーズの多様化や高齢化、さらには健康志向やサステナビリティへの関心が高まる中、業界は絶えず新しいトレンドを取り入れ、変化を続けている。以下にマクロ経済のトレンドとそれに伴う当業界の変化について記載する。


  • 人口減少と市場への影響: 日本は少子高齢化の影響により、顕著な人口減少を経験している。統計局によると、2023年の人口推計では、総人口が前年比で0.48%減少しており、今後も減少見込みである。この人口動態は食品・飲料市場に対しても大きな影響を与えている。特に、消費者基盤の縮小は、市場規模の縮小を意味しており、国内市場だけでの成長が困難な状況を迎えている。このため、多くの企業が新しい消費者層を求めてグローバル市場への展開を強化している。

  • グローバル展開の必要性と戦略: 先述の少子高齢化に伴う日本国内市場の縮小および成熟とともに、食品・飲料メーカーは海外市場への進出を加速させている。アジア諸国や新興国市場への進出は、国内市場の縮小を補う戦略として注目されている。なお海外市場で成功するためには、地域ごとの消費者ニーズや嗜好を理解し、それに合わせた製品開発とマーケティング戦略が必要である。当開発および戦略の質を高めることが、海外進出のサクセス・ファクターとなっている。

  • 健康志向の高まり: 近年、消費者の間で、糖分や脂肪の少ないヘルシーな食品や、オーガニック食材、機能性食品の需要が増加している。特に発酵食品や植物ベースの食品が注目を集めており、多くの企業がこれに対応した製品を次々と市場に投入している。

  • サステナビリティと環境配慮: 持続可能な資源の利用や、食品廃棄物の削減に向けた取り組みが加速している。また、環境負荷の少ない代替包装素材の採用や、カーボンフットプリントの削減を目指した生産プロセスの見直しも進んでおり、業界全体で持続可能な経営が求められている。

  • DX: 食品・飲料業界では、デジタル技術の導入が新たなマーケティングや商品開発を可能にしている。特に、消費者の膨大な購買データを基に、AIを活用した消費者分析や需要予測が進められることで、よりターゲットに合った商品やサービスの提供が実現されている。また、オンラインでの購買行動に対応するeコマースの成長も、業界に大きな影響を与えている。


1.2 食品・飲料メーカーで働く魅力


食品・飲料メーカーでの仕事は、消費者の生活に直接影響を与えるため、やりがいのあるキャリアを提供するものである。製品の研究開発から市場投入までのあらゆる段階に関与し、創造的思考と戦略的な問題解決能力を活用する機会が豊富であり、市場における製品の受容を直接体験できる点も魅力である。


加えて、環境保護や健康促進といった社会課題に取り組む機会が多く、サステナブルな生産や栄養価の高い製品開発を通じて、消費者の生活の質向上に寄与することも可能である。以上のように、食品・飲料メーカーでの仕事は、専門性を活かしつつ社会的価値を創出する充実したキャリアを提供するものである。


1.3 業界における主要な企業とポジション


日本の食品・飲料メーカー業界には、国内外で幅広く認知されている企業が数多く存在する。以下はその一例である。


  • サントリーホールディングス株式会社: 日本の飲料分野におけるリーダー企業で、アルコール飲料と清涼飲料水の両方を展開している。環境保護に力を入れ、水資源の保護やエコ包装などサステナブルな取り組みにも注力している。

  • キリンホールディングス株式会社: ビールをはじめとする飲料部門や、食品、医薬品事業にも力を入れ、成長を続けている。特に健康飲料分野での市場シェアを拡大し、国内外での売り上げを伸ばしている。

  • 味の素株式会社: 健康と栄養に関する革新を掲げ、国内外で幅広い商品展開を行っている。特に調味料分野に強みを持ち、健康志向の消費者向けの製品開発を積極的に推進している。

  • 日清食品株式会社: インスタントラーメンの市場をリードする企業である。国内外で強いブランド力を持ち、イノベーションにも積極的である。さまざまなフレーバーや健康志向の商品の開発に注力している。

  • 明治ホールディングス株式会社: 乳製品、菓子、栄養製品など幅広い食品を製造販売しており、特に乳製品では高い市場シェアを誇る。健康と美容を意識した製品ラインナップが魅力的である。

  • キッコーマン株式会社: 日本を代表するしょうゆメーカーであり、国内外で高いシェアを誇る。しょうゆのみならず、調味料や加工食品、飲料など幅広い商品を展開し、日本の食文化を世界に広める役割を果たしている。


これらの企業では、主に以下のような職種が存在し、各ポジションで異なるスキルが求められている。


  • 商品開発職: 消費者ニーズを反映した新商品の企画・開発を担当する。市場調査やトレンド分析、品質管理の知識が必要であり、研究職と連携しながら消費者にとっての価値や安全性を重視した商品の企画・開発を行う。

  • 営業職: 自社商品の流通を確保し、販路を拡大する役割を担う。顧客(小売店やレストラン等)との関係構築と交渉スキルが求められ、マーケティング部門と連携しながら販売戦略を立てる。

  • マーケティング職: 消費者への製品認知度を高めるためのプロモーションや広告戦略を計画し、実行する。消費者データの分析や競合他社の動向把握、ブランド戦略の構築などを行う。

  • 研究職: 新たな素材や技術の開発に関する基礎研究を行い、企業の競争力強化に貢献する。栄養学や食品科学の専門知識、さらには実験の計画・実施能力を用いて、イノベーティブな素材や技術の開発に貢献する。



2. 日本の食品・飲料メーカー業界で求められるスキルと資質


2.1 各職種に求められる専門スキル


日本の食品・飲料メーカー業界では、職種ごとに異なる専門スキルが求められている。ここでは、主要職種ごとに必要なスキルを詳述する。


  • 商品開発職

    • 市場調査・分析スキル: 消費者ニーズを調査・分析し、新商品の企画に反映させるため、トレンドや競合他社の製品を定量的・定性的に調査・分析するスキルが重要である。

    • 創造力: 常に新しいアイデアや斬新な商品コンセプトを考え、プロトタイプから最終商品までの開発をリードする力が求められる。

    • コラボレーション力: 品質管理や研究職、マーケティング部門との協力が必要なため、他部署とスムーズに連携する能力も大切である。

  • 営業職

    • 交渉力・コミュニケーションスキル: 取引先との関係構築や商談をスムーズに進めるための高い交渉力、顧客ニーズを的確に把握し、適切な提案を行うためのコミュニケーション力が必要である。

    • マーケティング知識: 日本の食品・飲料業界においては、各製品が持つ独自の特徴や利点を正確に顧客に伝えるための基本的なマーケティング知識が必要である。市場の動向を理解し、顧客との関係を深めることで、効果的な営業活動を支援する。

    • チームワーク・柔軟性: 社内のマーケティング部門や物流部門とも連携して業務を進めるため、チームでの協働意識や柔軟な対応が重要である。

  • マーケティング職

    • データ分析スキル: 消費者の購買データや市場動向を分析し、最適なプロモーション戦略を設計するためのデータ分析スキルが求められる。

    • ブランディング能力: ブランド価値を最大限に引き出すため、ターゲット層に合ったメッセージやコンテンツを企画する力が重要である。

    • クリエイティブな思考力: 広告やSNSキャンペーンなど、消費者に魅力的に伝わる企画を立案するための創造的なアプローチが必要である。

  • 研究職

    • 専門知識・技術力: 食品科学、栄養学、バイオテクノロジーなどの専門知識が必要であり、新素材の開発や効果的な生産技術の研究に応用される。

    • 研究計画立案・実行力: プロジェクトに応じた研究計画を立て、実験を設計し、正確なデータを取得する能力が求められる。

    • 分析能力: 取得したデータをもとに、研究結果を分析・解釈し、実用化につなげるための高い分析力が必要である。


2.2 共通して求められる資質


食品・飲料メーカー業界で働くためには、職種に関わらず共通して求められる資質がいくつかある。以下に挙げる資質は、特に日本企業でのキャリア形成において重要な要素となる。


  • 洞察力: 消費者の嗜好や行動を理解し、消費者目線で商品やサービスを企画・提供する意識が必要である。市場の変化に柔軟に対応し、消費者に新しい価値を提供することが求められる。

  • 柔軟性・適応力: 食品業界はトレンドや規制が頻繁に変わるため、新しい変化に柔軟に適応する力が求められる。特に海外の消費者動向や法規制に対応する際、文化的な違いにも配慮した柔軟な視点が重要である。

  • チームワーク・コミュニケーション力: 部署間の連携が業務の中心となるため、他部署と円滑に協力しながら目標を達成するためのチームワークが不可欠である。

  • 品質に対するこだわり: 食品業界では安全性と品質が最優先事項であり、製品やサービスに対して高い品質基準を持ち、これを維持するための姿勢が求められる。

  • グローバルな視点: 特に日本の大手食品・飲料メーカーでは、国内市場の成熟化に伴い、海外市場の拡大が成長戦略の一部になっている。多様な文化やニーズを理解し、グローバルに視野を広げて行動できる能力が求められる。

  • 泥臭いことを厭わないメンタリティ: 市場調査では、広範囲にわたるデータの収集や詳細な分析が要求される。これは時間を要する作業であり、一見すると地味な作業に見えることもある。しかし、精確な情報を基に戦略を練るためには、このような努力が不可欠である。目標達成のため、小さなデータポイントひとつひとつにまで目を光らせ、深掘りすることが必要である。


2.3 海外大生が食品・飲料メーカー業界で発揮できる強み


海外大生が日本の食品・飲料メーカー業界で価値ある人材として活躍する上で、しばし発揮される特有の強みについて以下に挙げる。


  • 多文化理解: 多文化理解は、海外での生活や学びを通じて身につけられる強みである。異なる文化背景を持つ消費者への理解が深まっていることが、他者との差別化につながる。

  • 異文化適応力: 異文化適応力は、異なる文化の中で生活する経験を通して培われる強みである。他文化に柔軟に対応する力を身につけることで、グローバル市場のニーズにも臨機応変に応えられるようになる。

  • バイリンガル(マルチリンガル)能力: バイリンガル(またはマルチリンガル)能力は、日本語と母国語、さらに英語でのコミュニケーションを可能にする強みである。多言語での対応ができることで、国際市場における消費者との橋渡し役や、多国籍チームとの円滑な協力が可能とされ、企業のグローバル戦略においても重要な役割を果たすことを期待される。



3. 日本の食品・飲料メーカーの選考プロセス


食品・飲料メーカー業界の選考プロセスには、他の業界と同様にいくつかの共通したステップがあり、各ステップで求められる内容やスキルが異なる。特に、日本企業特有のプロセスや評価基準があるため、準備を進めることが重要である。食品・飲料メーカー業界でキャリアを築くことを目指す海外大学の学生が、オファーを獲得するまでに踏む選考プロセスは以下の通りである。 


  1. 大学生活

  2. 業界研究 

  3. エントリーシート

  4. 適性検査

  5. 面接

  6. インターンシップ

  7. 最終面接 → 内定 


各ステップにおいて、学生がどのように対応すべきか、役立つTipsを紹介する。


3.1 大学生活(大学1年生8月頃〜エントリーまで) 


概要

食品・飲料業界では、職種によっては科学的な知識や栄養学、生産技術の理解などが求められる。そのため大学生活においては、関連する学部や研究室に所属することが有利とされる。大学生活では、関連する課外活動に参加したり、食品科学や栄養学のコースを受講することが推奨される。また当業界ではチームワークとコミュニケーションスキルも重視されるため、学際的なプロジェクトやグループ活動に積極的に参加することが有効である。


Tips

製品開発に関するコンテストや研究発表に積極的に参加することで、専門知識を深め、業界での実務経験を積むことができる。また、栄養学や食品科学の講座を受講し、専門知識を深めることが、面接やエントリーシートでのアピールポイントとなる。


3.2 業界研究(大学2年生6月頃〜エントリーまで) 


概要

食品・飲料業界の最新動向やトレンドを理解することは、企業選びや面接での議論に役立つ。特に、サステナビリティや健康志向の高まりによる市場の変化に注目することが肝要である。また、企業の説明会や社員訪問に参加することで、現場の声を聞くことができる。


Tips

サステナビリティや健康志向のトレンドを把握し、それに基づいた製品開発や市場戦略を理解することが、面接での議論材料になる。また、Jelper ClubやLinkedInなどのツールを活用し、社員訪問を効率的に手配することで、業界への理解をさらに深めることができる。


3.3 エントリーシート(大学3年生5月頃〜エントリー締め切りまで)


概要

自己PRや志望動機では、単にスキルや経験を列挙するだけでなく、自分自身の経験とその背景等を基に、自分がどのようにして食品・飲食業界で活躍できるか、自身の強みがどのように業界や社風にマッチするかを具体的に示すことが求められる。


また、特に「食」を軸にした志望動機の質問が多く聞かれる傾向にあるため、入念な準備が必要である。


以下は実際のES設問例である。


  • サントリー 2025年卒 部門共通フォーマット

    • 今のあなた自身を作り上げたエピソードを5つ教えてください。

    • 志望理由や強みを活かしてサントリーで成し遂げたいことを表現ください。

    • 今までの人生における『挑戦』または『創造』の経験について 〜サントリーは「やってみなはれ」精神で、様々なことに挑戦し、新しい価値を創造してきました。チャレンジ精神あふれる皆さんのエントリーシートを楽しみにしています〜 ※フォーマットはご自由にお使いください。写真・グラフ・イラスト等何でも利用いただいて結構です。 ※成果の可否だけでなく、あなた自身が努力・工夫したことや、取り組みのプロセスなどもぜひお聞かせください。

  • 日清食品 2026年卒 マーケティング職選考

    • 日清食品グループの大切にしている思考法の中で、「Creativeであれ!」という言葉があります。あなたのCreativeさを象徴するエピソードを教えてください。(1文字以上300文字以下)

  • 味の素 2025年卒 本選考

    • あなたが目の前の人の心を動かし、行動を変え、成果を創出した経験を記述してください。

    • 上記テーマに取り組むプロセスで、苦労した点や課題と感じた点を具体的に記述してください。

    • その課題を乗り越えるために、あなた自身が取り組んだこと、あなたならではの工夫を教えてください。

    • 味の素㈱へ入社して実現したいこと

  • キリンホールディングス 2025年卒 技術系 基礎研究コース

    • 現在行っている研究の全体像と社会的意義を教えてください。(600字以内)

    • これまでの研究の中で、最も困難だった技術的な課題を教えてください。その課題をどう乗り越えたかと、乗り越えられた理由を教えてください。(500字以内)

    • キリングループで興味のある業務とチャレンジしたいことを教えてください。(400字以内)

  • ハウス食品 2025年卒 研究職

    • あなたがハウス食品を志望する理由とハウス食品でチャレンジしたいことを教えてください。(300文字以下)

    • 学生時代にあなたらしさを発揮し、チャレンジした経験を2つ、教えて下さい。(300文字以下)

    • どの様な事でも構いませんので、これまでの経験の中で『食』に対する興味・関心・エピソードをご記入下さい。(300文字以下)


Tips

エントリーシートの内容を複数の人にレビューしてもらい、客観的な意見を取り入れる。また、プロフェッショナルでわかりやすい書類を作成することが重要である。


3.4 適性検査(大学3年生6月頃〜適性検査締め切りまで) 


概要

食品・飲料メーカー業界では、SPIやC-GABなどの適性検査の受検を求められる場合がある。多くの検査はWeb上で受けることができるが、テストセンターでの受験を必要とする場合もあるため、事前の確認が必要である。特に、国語や数学の分野で苦手な学生が多いため、事前に参考書などで対策を行うことが望ましい。

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  • 玉手箱、C-GAB対策本のおすすめは、こちら


Tips

英語力がある学生でも、国語や数学のテストが難関となる場合が多い。事前に参考書で対策を行い、問題形式に慣れておくことが重要である。また、テストセンターで受験する場合には、事前にスケジュールを調整し、受験場所や方法について確認しておくことが推奨される。


3.5 面接(大学3年生10月頃〜大学4年生6月頃まで) 


概要

候補者の熱意、業界への理解、そして論理性が評価される。チームワークやコミュニケーション能力も重要な評価ポイントである。これまでの活動や経験をもとに、自分がどのように企業に貢献できるかを具体的に説明することが求められる。以下は想定質問であるが、自身で追加の質問や自身の状況に応じた深堀りの質問を検討し、用意すること。

  • 自己紹介

  • 自己PR

  • 自身の長所と短所

  • 志望動機

    • 業界志望動機

    • 会社(職種別)志望動機

  • 人とのコミュニケーションの中で最も大切にしていることは何か

  • 挫折経験

  • 学生時代に力を入れたこと

    • 研究職の場合、研究内容

  • 中長期的なキャリアプランについて

  • 食品・飲料業界に入ってやりたいことは何か

  • 受験企業の商品に関する質問

  • 社風や理念に関する質問


Tips

  • たえずロジカルに答える。特に研究職などでは研究内容を深堀されることが多いので、主張とエビデンスにロジックの齟齬がないようにする。

  • 自己紹介の際だけでなく、質問に対しても具体的で説得力のある回答を用意すること。礼儀正しく、自信を持って振る舞うことが求められる。

  • 研究内容など専門性の高い質問をされた際は初めてその分野に触れる人にも分かりやすい形式での回答を心がけること。

  • 面接練習を積極的に行い、他人から見た自分に対する客観的なフィードバックを受けることで、面接の精度を上げることができる。フィードバックを真摯に受け止め、次への改善点として活用することで、回答の質を上げることができる。


3.6 インターンシップ(大学3年生6月頃〜大学4年生6月頃まで) 


概要

食品・飲料業界のインターンシップに参加することで、プロジェクトの過程を体験しながら、商品開発の企画や研究のワークなど職種ごとの業務内容を学ぶことができる。この経験は、面接やエントリーシートでの強力なアピール材料となり、採用選考において大きなアドバンテージとなる。


Tips

インターンシップでは、実際に業務の流れを体感することで、プロジェクトの流れやチームワークの重要性を学ぶことができる。


3.7 最終面接(大学4年生10月頃〜大学4年生6月頃まで) 


概要

最終面接では、候補者の総合的な評価が行われる。特に、業界への理解と企業に対する情熱が重視される。1次・2次面接と比べて、より深い質問や難易度の高い議論が行われるため、しっかりとした準備が必要である。


Tips

最終面接では、これまでの面接以上に業界知識や食品・飲料への情熱を示すことが重要である。自分の経験を具体的に伝える準備をし、特にインターンシップやプロジェクト、研究で学んだことを強調するとよい。また、業界全体の動向やトレンドにも言及できるようにしておくと、さらに印象を高めることができる。


毎年選考スケジュールは変更になることがあり、また海外大生向けに独自のスケジュールを設ける企業もあるため、各企業の新卒採用ページで詳細なスケジュールや募集要項を確認すること。



4. 業界でのキャリア形成と将来の展望


日本の食品・飲料メーカー業界では、長期的な視点でのキャリア形成が求められる。企業によっては入社後の研修やキャリアパスが充実しているため、自らのキャリア目標に向けた計画を立てることが重要である。また、社会や消費者のニーズが変化する中で業界がどのように進化していくのかを理解することで、将来的なキャリア展望も描きやすくなる。


4.1 食品・飲料業界の一般的なキャリアパス


食品・飲料メーカー業界には、商品企画・開発、マーケティング、営業、品質管理など、多岐にわたる職種が存在する。それぞれの職種での一般的なキャリアパスを以下に示す。


  • 商品企画・開発職: 新商品のコンセプト設計から、試作品の開発、最終的な市場投入までを担当する商品企画・開発職では、実務経験を積むことでプロジェクトマネージャーとして全体を統括する役割を担うことも可能である。業界や消費者のトレンドに精通し、商品開発のリーダーを目指すキャリアパスが一般的である。

  • マーケティング職: 商品のプロモーション戦略を立案し、ブランド力の向上を目指すマーケティング職では、消費者インサイトの分析やプロモーション戦略の構築が中心である。マーケティング職で経験を積むことで、ブランドマネージャーや市場戦略部門のリーダーへと昇進していくようなキャリアパスが期待される。

  • 営業職: 営業職は、流通業者や販売店との交渉を通じて商品を広める役割を担う。大手企業では、特定のクライアントを担当するアカウントエグゼクティブのポジションに進むことが一般的であり、さらにキャリアを積むと営業チームのマネージャーや全国、またはグローバル販売の統括者になる道も開ける。

  • 研究職: 研究職のキャリアは、通常、研究アシスタントや研究員からスタートし、専門知識と経験を積むことによって、プロジェクトリーダーや研究部門のマネージャーへと進むことが可能である。さらに高いレベルでは、研究開発部門のディレクターやチーフサイエンティストとして、企業の研究開発戦略を主導することも期待される。


4.2 キャリア形成に役立つスキルアップ方法


将来のキャリア形成を意識し、以下のようなスキルアップ方法も積極的に取り入れていくことが勧められる。

  • 資格取得と専門知識の習得: 食品衛生管理やマーケティングに関連する資格、データ分析のスキル、語学力を高めることで、キャリアの選択肢が広がる。

  • 業界研究やインターンシップ経験: 業界研究を通じて最新のトレンドを理解し、インターンシップを通じて実践的な知識を身に付けることがキャリア形成に役立つ。特に日本の食品・飲食メーカーでの経験は、今後のキャリアの大きなアドバンテージとなる。

  • 異文化での経験やネットワーク構築: 多国籍のチームでの協働や異文化理解は、海外市場への展開を目指す企業で高く評価される。また、業界のプロフェッショナルとのネットワーク構築も有益である。業界セミナーや勉強会に参加し、最新の知識や情報を吸収すると良い。



5. まとめ


日本の食品・飲料メーカー業界は、消費者の生活に密接に関わり、多様な食文化の中で進化し続けている重要な産業である。健康志向の高まりや環境問題への意識向上など、社会の変化に応じた新商品の開発が進んでおり、これらの変革が業界に新たなビジネスチャンスをもたらしている。国内市場の熟成と同時に、グローバル市場への展開を強化する動きも見られる。これから食品・飲料業界でキャリアを築くには、科学的な知識や栄養学に加え、国際的な視野を持ち、多文化を理解する能力が求められる。また、この業界で成功を収めるためには、消費者のニーズを敏感に捉え、持続可能な製品開発を進めることがますます重要になる。


Jelper Clubでは、これらのキャリアパスを探求するのに最適なリソースを提供し、食品・飲料業界での職務経験を積みたい人々に対して実践的なアドバイスと情報を提供している。当プラットフォームには、様々な業界企業のプロフィールやJelper Club限定の求人情報が掲載されている。さらに、「Soirée Tokyo」などJelper Clubの主催する対面イベントには、実際に食品・飲料業界で働く会員も参加しており、これらのイベントは会員同士のネットワーキングの場としても非常に有効である。参加者は一堂に会して業界の最新トレンドや魅力、キャリアのTips、選考の情報などを共有する機会を持つことができるだろう。Jelper Clubでは今後も積極的に当該分野の求人募集の掲載を行い、魅力的なキャリア機会を提供していく予定である。ぜひ頻繁に「Job Updates」を確認してもらいたい。


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(執筆・編集:Jelper Club編集チーム)

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