日本で生活する上で、銀行口座開設は不可欠なプロセスである。給与の受け取りや日本での支払いなど、さまざまな場面で日本の銀行口座を持つことが求められる。日本での生活をスタートする前に、銀行口座の開設方法についての知識を備えることができるよう、当記事では日本の銀行システムの概要、銀行口座開設手順、外国人が遭遇する特有の問題に焦点を当て、日本における銀行口座開設の具体的なTipsを提供する。
※本記事はあくまでパブリックデータから引用した情報を基に執筆した記事であり、本記事から派生した事象に対し、弊社は一切の法的責任を負いかねます。法的な観点等については、法律事務所にお問い合わせください。
前提条件
仕事や留学で日本に6か月以上滞在する。
日本の住民票を取得している。
印鑑を取得している(実印、銀行印)。
「銀行印」とは、銀行・信用金庫・信用組合などの金融機関に印影の届出をしている印鑑。お金を引き出す人が預金者本人かを確認する役割を持つ。
「実印」とは、住民登録をしている市区町村の役所に、戸籍上の名前を彫刻したハンコを登録申請し受理された印鑑。
実印は住民登録を行うことで作成することが可能になる。
実印はインターネットや店舗で作成可能。
実印作成サイト例:ハンコマン
「実印」と「銀行印」を併用することも可能である。
日本国内の電話番号を取得している。
日本の銀行システムの特徴
・銀行の種類
日本には様々な種類の金融機関があり、それぞれに特徴がある。
民間銀行: 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行など。
ゆうちょ銀行: 全国の郵便局が支店となっており、利用しやすい。
信用金庫: 地域密着型の金融機関で、地元住民や中小企業向けのサービスが充実している。
農業協同組合(JAバンク): 農業従事者を中心に金融サービスを提供。
外国人の口座開設において推奨される銀行については、下記「主要な銀行とその特徴」を確認。
提供される主なサービス
これらの金融機関は、以下のような幅広い金融サービスを提供している。
預金: 普通預金、定期預金など
融資: 住宅ローン、教育ローンなど
為替取引: 国内送金、国際送金
投資商品: 投資信託、株式、債券
銀行口座の重要性と利点
重要性
日本で生活するためには銀行口座が必須である。以下のような場面で銀行口座が必要となる。
給与の受け取り
家賃や公共料金の支払い
日本国内外への送金
利点
日本の銀行口座を持つことで得られる主な利点は以下の通り:
国内企業からの給与受け取り
日本円での受け取りとなることに注意。
利息の獲得:預金に対して金利が付与される。
平均預金金利:年0.020%(2024年5月13日時点)*1。
キャッシュカードの利用:ATMでの現金引き出しや店舗での支払いに使用できる。
デビットカードの利用:即時に口座から引き落としが行われ、商品やサービスの代金を支払うことができる。
オンラインバンキングの利用:インターネットやスマートフォンで口座管理ができる。
ローンやクレジットカードの利用:審査に通れば利用可能。
銀行口座開設方法
銀行口座開設方法は銀行によって違いがあるが、主に下記の3つの方法がある。
銀行の窓口で手続きする。
インターネット上で手続きする。
アプリを使って手続きする。
銀行口座の開設手続き(窓口)
口座開設する銀行を選ぶ
就職する企業が開設する口座の銀行を指定する場合がある。指定があればそれに従うこと。
指定がなければ、自分のニーズに合った銀行を選ぶ。金利、手数料、サービス内容、支店の場所(自宅との近さ)などを比較検討すべきである。
必要書類を準備する
銀行口座開設に必要な主な書類は以下の通りである:
本人確認書類(パスポート、在留カード)
在留満了日まで3か月以上あることが条件の場合が多い。各銀行の在留カード期限の記載について、確認を入念に行うこと。
住所確認書類(住民票、公共料金の領収書など)
その他必要に応じて求められる書類(学生証、雇用証明書など)
各銀行で必要書類は異なる場合がある。各ホームページで入念に確認すること。
銀行の窓口へ行く
選んだ銀行の窓口に行き、口座開設を希望する。
口座開設申込書に記入する
窓口係員の指示に従って申込書に必要事項を記入する。
本人確認書類を提示する
本人確認書類を提示し、身元を確認してもらう。
口座開設手続き完了
手続きが完了すると、キャッシュカードや通帳が発行される。
オンラインでの銀行口座開設
一部の銀行では、インターネットやスマートフォンアプリを利用して口座開設が可能である。オンラインでの銀行口座開設の利点と注意点は以下の通りである。
手続きプロセス(各銀行によって多少異なるため要確認):
口座開設する銀行を選ぶ
各銀行の開設ページにて、必要事項の入力
カード種類、通帳の選択
申込書の用意
一部の銀行(みずほ銀行など)は紙の申込書を郵送することを求めている。
指定された方式(サイズ、白紙、片側印刷など)で印刷し、申込書を作成すること。
申込書、必要書類の郵送
利点:
時間や場所を選ばずに手続きができる。
必要書類を郵送で提出できる。
口座開設までの時間が短縮される。
注意点:
キャッシュカードが届くまで1~4週間程度かかる。
本人確認書類の郵送が必要な場合がある。
ビデオ通話による本人確認が必要な場合がある。
すべての銀行でオンライン口座開設が可能なわけではない。
主要な銀行とその特徴
日本最大の銀行で、全国に多くの支店がある。
個人向け、法人向け、国際向けの幅広い金融サービスを提供している。
口座開設は窓口で行う。家もしくは職場から近い支店に行き、必要事項を記入した口座開設申込書と必要書類を提出する。
アプリでの口座開設も提供しているが、日本国籍以外の方は利用できない。
日本で2番目に大きい銀行で、個人向け、法人向け、国際向けの幅広い金融サービスを提供している。
窓口、インターネット、アプリでの口座開設が可能。
以下に当てはまる場合、オンライン上での口座開設ができないため、窓口での申請が必要:
アメリカ国籍
事業で使うことを目的としている。
税務上の居住地国が日本以外にも存在する。
メガバンクで、全国に支店やATMがある。
窓口、インターネットでの口座開設が可能。
アプリでの口座開設も提供しているが、日本国籍以外の方は利用できない。
全国に郵便局の支店網を持ち、個人向けにシンプルな金融サービスを提供している。
在留期間が3か月以上であれば普通口座を作ることができる。
外国人向けの案内と、インターネット上で事前に申込書を作成できるサービスを14言語で提供している。
ATM引出手数料がいつでも無料。
楽天銀行:
楽天グループが運営するネット銀行。
多くの銀行やコンビニと提携しているため利用できるATMが多くある。
インターネットでの口座開設。
外国人が直面する特有の課題と解決策
言語の壁
日本の銀行では、多くの情報が日本語で提供されている。口座開設時の書類や手続きも日本語で行われることが多いため、日常会話レベルの日本語能力があったとしても契約書類の確認に手間取ることもあるだろう。必要であれば積極的に通訳サービスや日本語が堪能な友人の助けを借りることが重要である。
必要書類の準備
外国人が銀行口座を開設する際には、追加の書類が必要となる場合がある。例えば、在留カード、住民票、雇用証明書などである。分からないことがあれば、事前に銀行へ問い合わせて、必要書類を準備するべきだ。
まとめ
日本での生活において銀行口座は非常に重要である。口座開設にはいくつかの手順があるが、事前に準備をすればスムーズに進めることができる。外国人にとっては、言語の壁や必要書類の準備が課題となることももちろんあるが、事前の準備で備えることでこれらの課題を乗り越えることができる。不安要素があればJelper ClubのFeed上で気軽にシェアしてほしい。他のJelper Clubメンバーが良質な情報をシェアしてくれるだろう。
(執筆・編集:Jelper Club編集チーム)
出典・注記
「最新預金平均金利情報」(株式会社日本金融通信社):https://www.nikkin.co.jp/kinri/average/
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