top of page
検索

【CEOコラム】海外大生が日本で活躍できるオポチュニティを集めたい

  • 執筆者の写真: Daichi Mitsuzawa
    Daichi Mitsuzawa
  • 3 時間前
  • 読了時間: 7分
ree

「せっかく海外の大学に来たのだから、日本の企業には戻らずに海外で働きたい」
「海外の大学に来て、卒業後に国内大の学生と同じようなキャリアを歩むのだけは嫌だ」
「海外で学んだことを活かせるような仕事に就きたい」

世界トップ学生と日本の企業向けの採用プラットフォームをローンチしてから約2年。Jelper Clubに登録する日本語ネイティブ学生(以下「日本人学生」という)から頻繁に聞く声である。

それもそのはず。日本国内の高校から日本国内の大学に進学するのに比べ、海外の大学への進学は、コストが圧倒的に高いからである。特に世界的に名の知れている欧米のトップ大学であれば、その差は甚大である(日本の約5~10倍。地域によっては10倍以上になることも)。そうしたコストを支払ってでも子を海外大に通わせる親からすれば、日本の大学生と同じようなキャリアを歩ませたくないのは当然であるし、そうした親の影響を受けた子が同じような価値観を持っていることも100%理解できる事象である。


一方で、そうした「日本の大学生と同じキャリアを歩まずに、海外で就労したい海外大生」は、いま岐路に立たされている。2025年1月に発足した第二次トランプ政権は、共和党の政策コンセプトである「Make America Great Again」(以下「MAGA」という)に則り、現国土安全保障担当補佐官であるスティーブン・ミラーの下で、高度人材の就労に対する制限を強めており、アメリカ国内の大学で学ぶ正規留学生の米国内での就労が益々困難となっている。また英国では、スターマー労働党政権下で、「純移民の削減」と「高度人材への選別強化」を掲げられているものの、大学卒業後の在留期間(Graduate Rout)の短縮や、永住権取得までの必要在留年数の延長、留学生による家族帯同のコイン紙など、英国の大学を卒業した外国人学生が現地で職を得て長期的なキャリアを築くための時間的・法的猶予を着実に削り取る施策が実施されている。

こうして、英米という典型的な留学・就職先の双方で、留学生から現地就職へのパスウェイは制度的に細りつつあり、「日本国内の大学生とは異なるキャリアを海外で切り開く」というこれまでの王道シナリオは、かつてない不確実性と制度リスクを前提とする選択肢へと変貌しつつある。そうして海外就職の道が閉ざされた海外大生は通常、ボストンキャリアフォーラム等の海外大生向け就職イベントを経て日本国内の企業に就職していく。そして日本の新卒一括採用ポジションである「総合職」に配属され、海外大での経験関係なく、一ポテンシャル人材として国内の大学生と同じような研修を受け、同じような仕事を行う。


しかし改めて考えてみてほしい。そもそも日本の高校から甚大なコストをかけて海外へと旅立ち、慣れない異国の地で世界トップクラスの地頭と専門性を持った学生に囲まれながら必死に勉強している学生と、国内の大学卒の学生が、同じような国内向けの仕事に携わるということは、極めて奇妙ではないか。特にクライアントが国内で、上司も国内大学出身であれば、当然パフォーマンスや評価は日本に慣れ親しんでいる国内大学出身の学生に利が出る。


こうして、甚大なコストと苦労をかけて海外のトップ大学に進学した学生は日本で芽が出ずに埋もれることとなり、そうした日本での"悪い"エクスペリエンスが世代を超えて後輩へと受け継がれ、その結果が冒頭で述べた海外大生の声へとつながってくる。


当社Jelper Clubは、「『人を大切にする』日本の働き方で、世界中の社会に安定を築く」をビジョンに掲げている。これは日本の企業が人を大切にしているということを前提としたビジョンであり、実際海外の企業と比べれば、日本の企業は本当に自社の従業員を大切にしている。しかし周りを見渡してみると先述のようなケースが散見される。「置かれた場所で咲きなさい」という、あたかも昔から信じられている成功の秘訣かのようなことわざを振りかざされ、結果として海外大での経験が全く発揮されずに「置かれた場所で咲けない」、そして「人を大切にする』日本企業の良さを感じることができないまま、悪いエクスペリエンスばかりが溜まっていく。


私自身、この状況に対して深く憂慮している。特にグローバル化の中で多くの日本企業で海外売上比率が高まっている中、海外での経験が豊富な海外大生は本来貴重な労働力なのではないか。にも関わらず、とりあえず「グローバル」を志向する上層部の指示に従って、形だけの「海外大採用」を続けていては、これこそまさしく宝の持ち腐れである。ましてや今後少子高齢化がますます進み、新卒優秀層のプールも縮小していく中で、昔と同じ採用と活用を繰り返していては、先はない。現状は為替等の影響で、”見せかけの海外売上”は高くなっており、既存の人事施策による効果が見えにくくなっている。しかしそうしたマクロトレンドが永続する可能性は低い。今後トレンドが転換した際にも、海外市場で確固たるビジネスを築いていけるのは、まさにそうした海外大生なのではないか。その上で、一括採用→教育→均一化された優秀ソルジャーを作るのではなく、既存の一括採用で心理的安全性が担保された状態で教育を与えつつも、一人一人の経験や個性を考慮し、パフォーマンスが最大化されるポジション・環境を創り出していくことがますます重要になっていくのではないかと考えている。


これらの考えを踏まえ、当社Jelper Clubでは、「世界トップ大生だからこそ日本で歩めるキャリアパスを学生に提供する」「Jelper Clubだからこそ出会える世界トップ大生との密な接点を提供する」ことをコンセプトとして、「本物の日本と世界の才能が交わるハブを作る」というミッションを実現していきたいと考えている。


なお今日までJelper Clubを運営してきた中で、既に学生・企業の両方から非常にポジティブなフィードバックをいただけており、我々のコンセプトは決して間違いではなかったと感じている。そうした海外トップ大生の経験やスキルが活きるポジション・環境を作り、Jelper Clubに集約していきたいと考えている。


なお、海外トップ大生の経験やスキルが活きるポジションを作り、優秀な海外大生を受け入れることで、会社全体の成長を加速させようとしているJelper Club登録企業の取組例を紹介したい(一部抜粋)。


--------------

富士フイルム株式会社

富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)は、海外売上比率が国内売上比率をアウトパフォームしている現状を踏まえ、更に中長期で海外でのビジネスを拡大していくための施策の一環として、海外大生向けのサマーインターンシップ選考を実施している。このサマーインターンシップは夏休み中の8-10週間で行われる。海外大生のスキルと経験を必要とする部署がそれぞれインターンシップポジションを作り、当ポジションでインターンシップオファーをもらった学生が夏に当部署でインターンとして働き、部署側が評価すれば、そのまま該当部署にフルタイムで入社することができる。これにより部署における学生のフィット感を見ながら、フルタイムでの入社を図ることができる他、学生側も自分の経験やスキルが活きるか見極めた上で入社することができる。またいくつかのポジションでは業務がすべて英語で行われるため、日本語での業務遂行は難しいが特別な才能を持った外国籍学生や、英語を使って働きたい日本語ネイティブの学生(総じて優秀)を受け入れることができる。



某テック企業 A

Aが自社で開発するLLMやグローバルAI大手とのジョイントベンチャーなど、生成AI関連の施策に伴うグローバルでの地位強化における採用施策の一環として、世界トップ学生の志向やスキル、経験を踏まえたジョブ確約型(ビジネス、エンジニア,etc.)のフルタイム/中長期のサマーインターンシップ選考を実施している。なお当ポジションは給与形態も通常の新卒ポジションとは異なり、より高水準のパッケージを提供している。

--------------


以上がJelper Club登録企業の取り組み例である。Jelper Clubはこれからもこうした機会の提供と、そうした機会を求める世界トップ大生との接点を提供できるようなプラットフォーム創りを目指して尽力していく。


(執筆:Daichi Mitsuzawa, CEO of Jelper Club Inc.)

 
 
 

コメント


bottom of page