金融の世界において、ヘッジファンドは最もダイナミックで知的に刺激的なセクターの一つである。
積極的な投資戦略と高いリターンを目指すことで知られるヘッジファンドは、分析的な厳密さと財務的洞察力を迅速かつ高リスクの環境で活かそうとする世界トップ学生にとって魅力的なキャリアパスである。また一般的な給与も高く、平均的に給与が高い金融業界の中でも、ヘッジファンド業界の給与はずば抜けて高いことで知られている。
当記事では、そんなヘッジファンド業界の概要や、学生が就職するための方策について記載していく。
ヘッジファンドとは何か
ヘッジファンドは、リスク調整後のパフォーマンスに重点を置きながら投資家にリターンを提供するために様々な戦略を採用する投資プールである。従来のミューチュアルファンドと異なり、ヘッジファンドは投資可能な資産の種類に関して制約が少なく、レバレッジ、デリバティブ、ショートセリングなどの複雑な金融商品を使用して市場の非効率性を活用することができる。
ヘッジファンドの柔軟性により、以下を含む多岐にわたる戦略を追求することが可能である：
エクイティ・ロング/ショート：過小評価されている株式を購入しながら過大評価されているものを売り、価格差異から利益を得る。
グローバル・マクロ：さまざまな資産クラスにわたる大規模な経済・政治動向に基づいてポジションを取る。
イベントドリブン：合併、買収、倒産などの企業イベントに注目し、市場動向を活用する。
量的戦略：数学モデルやアルゴリズムを使用してデータ駆動の投資判断を行う。これには高頻度取引（HFT）が含まれる。
ヘッジファンドの戦略の多様性は、株式市場、債券、商品、新興市場など、特定の専門分野に特化する機会を人々に提供する。
ヘッジファンドでの職種
1. ヘッジファンドアナリスト
主な役割： アナリストは財務諸表、市場動向、その他の経済データを分析し、投資の機会を評価した上で、具体的な投資の方策について提言する。
業務内容例：
ポテンシャル投資対象に対する詳細な基礎または技術分析の実施
既存の投資と市場状況の監視
研究報告書の作成および上級管理職またはポートフォリオマネージャーへの発表
2. ヘッジファンドマネージャー（ポートフォリオマネージャー）
主な役割： ヘッジファンドマネージャーはファンドの最終的な投資判断を行い、全体のポートフォリオを管理する。一般的にはアナリストやトレーダーのチームをマネージする場合が多い。
業務内容例：
さまざまな投資戦略または資産クラス間での資本の配分
研究および市場条件に基づいて購入、売却または保有の判断
リスク管理と投資命令内でのファンドの運営の確保、
パフォーマンスおよび戦略に関しての投資家とのコミュニケーション
3. クオンツ・リサーチャー（QR）
主な役割：QRは数学的、統計的、計算技術を使用して取引モデルや戦略を開発する。例えば、市場の非効率性を活用することで利益を生み出すアルゴリズムの作成などがその代表例として挙げられる。
業務内容例：
取引アルゴリズムの設計、バックテスト、最適化
歴史的市場データの量的分析
戦略の実装に関わるデータサイエンティストやエンジニアとの協力
市場動向、リスク管理、資産価格設定のための予測モデルの開発
4. トレーダー
主な役割： トレーダーはポートフォリオマネージャーまたは取引アルゴリズムからの指示に基づいてファンドのために買い注文と売り注文を実行する。ファンドが市場の機会を効率的に活用するのに重要な役割を果たす。
業務内容例：
さまざまな資産クラス（株式、債券、デリバティブなど）の金融市場での取引の実行
市場リスクと露出の管理
リアルタイムでの市場条件の監視とポジションの調整
最適な価格での取引の実行とブローカーとの関係維持
5. クオンツ・デベロッパー（ソフトウェア・エンジニア）
主な役割：クオンツ・デベロッパーは取引および研究業務を支える技術インフラを構築する。大量のデータを処理し、取引戦略を実装できるシステムの開発に焦点を当てる。
業務内容例：
取引プラットフォーム、研究ツール、データパイプラインの開発と維持
本番環境へのアルゴリズムの実装（QRと連携）
ハイ頻度取引用のシステムのパフォーマンスとスケーラビリティの最適化
ファンドのリスク管理および報告システムの構築
なおこれらはあくまで主要な役職における記載であり職種の網羅的なリストではないことに注意が必要である。ヘッジファンド毎にさまざまな投資戦略が存在し、業務の範囲も大きく異なるため、詳細は各ファンドのジョブデスクリプションを確認すること。
新卒学生がヘッジファンドの選考プロセスを突破するには
ヘッジファンドでの採用プロセスは役職によって異なる。通常、候補者はインターンシップから始めることが多く、これがフルタイムのオファーへの足がかりとなる。以下に各役職の面接プロセスの一般的な説明を示す。
アナリスト
アナリスト職は通常、データ解釈、財務モデリング、市場分析に焦点を当てる。財務諸表、市場動向、経済指標の理解に関する質問が出されることが予想される。面接には、分析的思考や意思決定スキルを評価するためのケーススタディやシナリオベースの質問も含まれることがある。
面接の例題
こちらはある小売会社の財務データである。この会社が良い投資かどうかの分析を説明せよ。
赤字運営の会社をどのように評価するか？プロセスを説明せよ。
QR / トレーダー
QRおよびトレーダーの面接では、数学と統計に重点を置く。典型的なトレーダー面接の概要はこちら（"A Jane Street Trading Mock Interview with Graham and Andrea")で確認してほしい。QRの面接も似ているが、一般的には統計への理解が深く、金融市場に対するある程度の知識が要求される。
面接の例題
13枚の赤と13枚の黒のカードがあるデッキと、26枚の赤と26枚の黒のカードがあるデッキがある。2枚のカードを選んで黒を2枚選べばゲームに勝つ。どちらのデッキを選ぶべきか、頭の中だけで考えて解決せよ。
$0-$1000の間でどこかに価格が設定されている宝箱の入札機会が与えられた場合、入札額が価格以上であれば宝箱を獲得する（入札額のコストで）。入札額が価格を下回った場合、宝箱を獲得できない。また、宝箱を手に入れた場合、友人が宝箱の価格の1.5倍で宝箱を購入することを約束している。入札額はいくらであるべきか？
クオンツディベロッパー
基本的にソフトウェアエンジニアであるクオンツディベロッパーは、特定の役職に基づいて異なる技術要件が課されることがある。一部のポジションではPythonスキルのみ求められるケースもあるが、特にHFTを行う企業では、オペレーティングシステムやネットワーキングに関する広範な知識が必要とされることもある。面接プロセスは、一般的なソフトウェアエンジニアリングの採用と大きく異なるわけではない。
面接の例題
Leetcodeのアルゴリズム問題（中～高難度）
OS、システム、コンピュータアーキテクチャに関する質問
新卒学生としてヘッジファンドの求人を探す方法
新卒の学生、特に日英バイリンガルの学生がヘッジファンド業界への就職を目指す際、Jelper Clubは適切なリソースと求人情報を提供する最適なプラットフォームである。当プラットフォームには、様々なヘッジファンドのプロフィールやJelper Club限定の求人情報が掲載されている他、既にヘッジファンドに就職した卒業生および内定をもらった世界トップ学生が多く登録している。そのため、単にJelper Clubに登録し、そうした企業にアプライするだけでなく、他のヘッジファンドに就職した卒業生会員や内定をもらった学生会員に直接メッセージを送り、エクスクルーシブな情報やコネクションを得ることも可能である。
また、「Soirée Tokyo」などJelper Clubの主催する対面イベントには、ヘッジファンドで働く会員も多数参加している。これらのイベントは会員同士のネットワーキングの場としても非常に有効である。参加者は一堂に会してヘッジファンド業界の最新トレンドやキャリアのTips、選考の情報などを共有する機会を持つことができるだろう。
以上の理由から、自分の腕に自信のある学生は是非Jelper Clubを通じてヘッジファンド業界にチャレンジしてみてほしい。Jelper Clubの登録はこちら
(執筆・編集：Jelper Club編集チーム）
Comments