従来、外国人労働者の受け入れに対して慎重だった日本政府が、若手の高度人材の獲得に向けて打ち出したJ-Find(未来創造人材制度)。この制度は、日本での就労を希望する外国人にとって、日本への門戸を開く重要な役割を果たしている。
しかし、実際にJ-Findを取得してから日本国内で仕事を見つけ生活基盤を築いていくプロセスは、まだ多くの外国人求職者にとって馴染みのないものである。本記事では、J-Findを取得してから日本で職を得るためにするべきことや、Jelper Clubを活用してできることについて解説する。
※本記事はあくまでパブリックデータから引用した情報を基に執筆した記事であり、本記事から派生した事象に対し、弊社は一切の法的責任を負いかねます。法的な観点等については、法律事務所や行政書士事務所にお問い合わせください。
1. J-Findとは何か
1.1 J-Findの概要
J-Find(未来創造人材制度)は、日本政府が高度な専門性やポテンシャルを持つ外国人労働者の受け入れを促進するために設けたビザ制度である*1。優秀な海外大学等を卒業した者が、日本で「就職活動」や「起業準備活動」を行うことを目的としており、最長2年間の在留が可能である。この制度は、日本での就労を希望する外国人に対して、一定期間内に仕事を見つける機会を提供することを目的としている。J-Findビザを取得することで、外国人は日本国内での仕事探しや面接をスムーズに行うことができる。
1.2 J-Findの取得方法
申請要件:
対象大学:QS、THE、ARWUの3つの世界大学ランキング中、2つ以上で100位以内の大学を卒業、またはその大学院を修了していること。
卒業後の年数:対象大学を卒業または修了してから5年以内であること。
生計維持費:申請時に預貯金が20万円以上あること。
申請手続き:
オンライン申請フォームの記入:日本大使館や領事館のウェブサイトからダウンロードし、必要事項を記入。
必要書類の準備:以下の書類を準備。
パスポートのコピー
履歴書
職務経歴書
財政証明書(生活費をまかなえる資金があることを証明するもの)
卒業証明書(対象大学のもの)
卒業後の年数を証明する書類
申請書類の提出:必要書類をオンラインで提出し、申請料を支払う。
必要書類:
パスポートの有効なコピー
履歴書と職務経歴書
財政証明書(銀行残高証明書など)
卒業証明書(対象大学のもの)
卒業後の年数を証明する書類
1.3 J-Findの有効期限
有効期間の詳細:
J-Findビザの有効期間は通常6ヶ月から最長2年間である。この期間中に仕事を見つけることが求められる。
更新手続き:
J-Findビザの更新は基本的に認められないが、特別な事情や条件を満たす場合に限り再申請が可能である。
J-Findビザに関しての詳細な説明は「世界トップ大学の卒業生誘致に向けた日本政府の施策 - 未来創造人材制度(J-Find)とは?」を参照すること。
1.4 その他
Jelper Club会員の所属大学の多くはJ-Findの対象大学に含まれており、当制度はJelper Clubとの非常に相性が非常に良いと言える。さらに、Jelper Clubには実際にJ-Findを活用した会員も所属しており、同じ状況にある仲間たちと情報を共有し、協力して日本での就職活動を進めることができる環境を提供している。J-FIndを取得して日本に来た学生は、是非Jelper Clubを活用して同じJ-FIndを取得した会員との交流を深めてほしい。
2. 日本での仕事探しの基本
日本で仕事を探す上で押さえておくべきいくつかのポイントを紹介する。
2.1 求人情報の入手方法
Jelper Clubの活用:
Jelper Clubにはさまざまな業界から多くの魅力ある企業が登録しており、日々更新される募集情報を確認することが重要である。以下に、Jelper Clubを活用した求人情報の入手方法を詳しく解説する。
求人情報の確認: Jelper Clubの「Jobs」には、最新の求人情報が定期的に更新されている。新しく掲載された求人情報を見逃さないように、頻繁にチェックすることが重要である。
コミュニティの活用: Jelper Clubには、他の求職者や実際に日本の企業で働いている卒業生が多数参加している。彼らとの交流を通じて、求人情報だけでなく、就職活動に関する有益なアドバイスや情報を得ることができる。
メッセージ機能:「Connect」や「Feed」を活用し、Jelper Clubに登録している卒業生や現役社員に直接メッセージを送り、アドバイスを受けることができる。興味のある企業で働いている卒業生にメッセージを送り、企業の内部情報や非公開の求人情報について尋ねることもできるだろう。
イベントへの参加:Jelper Clubが主催するネットワーキングイベントに参加することで、求職者同士の情報交換やすでに働いている卒業生からのアドバイスを受けることができる。
その他:
他にもCFNやWantedlyなどで求人を探すことも可能である。しかしながらJelper Clubと違い、日本語要件が高いJobが多いので、必ず各募集要項の日本語要件を確認してほしい。
2.2 履歴書の作成
日本語の履歴書のフォーマット
基本情報:氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、性別など。
学歴:高校から現在までの学歴を時系列順に記載。
職歴:過去の職歴を時系列順に記載。具体的な業務内容や実績も書き添える。
資格・技能:取得している資格や特技、語学力などを記載。
志望動機:その企業を志望する理由や自分の強みをアピール。
実際の記入例(履歴書)
なお、厚生労働省の公開している「履歴書様式例」からテンプレートをダウンロードできる。
2.3 面接の準備
面接のマナー
時間厳守:面接の約束時間には必ず間に合うようにする。遅刻は厳禁。
服装:ビジネススーツを着用し、清潔感を保つ。
挨拶:面接官に対して丁寧な挨拶を行い、礼儀正しく振る舞う。
よくある質問と回答の準備
自己紹介:自分の経歴や強みを簡潔にまとめて話す。
志望動機:その企業を志望する理由を明確に伝える。
長所と短所:自分の強みと弱みを具体的に説明し、どのように克服しているかを伝える。
将来の目標:将来的にどのようなキャリアを描いているかを説明する。
面接対策やそれに付随するマナー等の情報については、以下のリンクを参照
マナー・エチケット:日本におけるエチケット・マナーの基本ガイド
3. 特定の職種・業界での就職
以下は外国人労働者の需要が特に高いと考えられる業界である。
3.1 IT業界
求められるスキル:
プログラミング(Java、Python、C++)
データベース管理(SQL、NoSQL)
クラウドコンピューティング(AWS、Azure)
人気の職種:
ソフトウェアエンジニア
データサイエンティスト
サイバーセキュリティエキスパート
業界の特徴:
外国人技術者の需要が高い。
グローバルプロジェクトが多い。
日本語要件:業務上の日本語能力は中級以上が求められるケースが多いが、英語のみでのコミュニケーションが可能な企業も多い。
3.2 製造業
求められるスキル:
生産管理
品質管理
機械設計
人気の職種:
生産エンジニア
品質保証エンジニア
プロジェクトマネージャー
業界の特徴:
高度な技術力
日本のものづくり文化
日本語要件:日本語能力試験N2レベル以上が求められるケースが多い。
3.3 教育業界
求められるスキル:
教育資格
バイリンガル能力
カリキュラム作成
人気の職種:
英語教師
国際学校の教師
教育コンサルタント
業界の特徴:
英語教育の需要
多文化教育
日本語要件:英語教師の場合は日本語能力は必須ではないが、インターナショナルスクールの教師や教育コンサルタントの場合はN2レベル以上が求められるケースが多い。
3.4 貿易・物流業界
求められるスキル:
貿易実務
ロジスティクス管理
多言語能力
人気の職種:
貿易事務
ロジスティクスマネージャー
サプライチェーンマネージャー
業界の特徴:
国際取引の中心地
グローバルなビジネス環境
日本語要件:日本語能力試験N2レベル以上が求められるケースが多いが、英語が公用語の企業も存在する。
3.5 金融業界
求められるスキル:
ファイナンス知識
データ分析
コミュニケーション能力
人気の職種:
ファイナンシャルアナリスト
投資バンカー
リスクマネージャー
業界の特徴:
安定した職業
高収入の可能性
日本語要件:業務の特性上、高い日本語力(N1レベル以上)求める企業が多い。
4. 外国人労働者が仕事を始めるにあたり必要なプロセス
4.1 労働ビザの取得
J-Findビザの期間中に仕事を見つけ、以下の労働ビザに移行する手続きを行う。
労働ビザの種類:
技術・人文知識・国際業務ビザ:IT、経済、法律などの専門職向け。
特定技能ビザ:特定の業種に必要な技能を持つ人向け。
高度専門職ビザ:高い専門知識や技能を持つ人向け。
申請手続き:
書類の準備:雇用契約書、在留資格認定証明書、申請書類。
提出先:日本の入国管理局。
詳しくは「世界トップ学生が日本で就労ビザを申請・更新する際のガイドライン」を参照すること。
4.2 日本語の習得
日本語学校:
一般日本語コース:会話、読解、作文を含む総合的な日本語学習。
ビジネス日本語コース:ビジネスシーンで必要な日本語を学習。
オンライン学習:
アプリやウェブサイト:Duolingo、WaniKani、Nihongo-Proなどのプラットフォーム。
4.3 生活サポート
住居の探し方:
不動産仲介業者:外国人対応の業者を利用。
オンラインプラットフォーム:Suumo、Homesなど。
詳しくは「日本における住居探しガイドライン(海外転入者向け)」を参照すること。
銀行口座の開設:
必要書類:パスポート、在留カード、印鑑(必要な場合)。
手続き:各銀行の窓口で申請。
詳しくは「日本における銀行口座開設手続き(海外転入者向け)」を参照すること。
医療・保険の手続き:
国民健康保険:市区町村役場で加入手続きを行う。
医療機関:外国語対応の病院やクリニックを利用。
詳しくは「日本における社会保障制度 - 日本の社会保障システムと外国人労働者への適用方法」を参照すること。
5. 日本の企業文化の理解
日本の企業文化を理解することで、入社してからスムーズに仕事を進めることができる。
5.1 職場のエチケット
ビジネスマナー:
挨拶:朝の挨拶は必須。「おはようございます」「お疲れ様です」などの適切な挨拶を心がける。
服装:ビジネススーツが基本。服装の乱れはNG。
名刺交換:名刺は両手で持ち、相手の名刺を受け取る際は丁寧に扱う。
コミュニケーションスタイル:
敬語の使用:上司や先輩には敬語を使う。
ホウレンソウ(報告・連絡・相談):常に上司やチームに状況を報告し、連絡を密にし、相談を怠らない。
詳しくは「日本におけるエチケット・マナーの基本ガイド」を参照すること。
5.2 仕事の進め方
報連相(報告・連絡・相談):
報告:業務の進捗や問題を適時に上司に報告する。
連絡:必要な情報を関係者に適時に連絡する。
相談:問題や疑問があれば、すぐに上司や先輩に相談する。
チームワークと個人の役割:
チームプレイ:個人の役割を果たしつつ、チーム全体の目標達成に貢献する。
責任分担:各メンバーが自分の役割と責任を明確に理解し、遂行する。
まとめ
J-Findビザは、日本での仕事探しを希望する外国人にとって強力な支援となるが、実際に仕事を見つけ、日本で生活基盤を築いていく方法について触れられていることは少ない。本記事では、J-Findを取得してから日本で職を得るためにするべきこと、また入社してから活躍する上で知っておくべき基礎について解説した。
Jelper Clubでは今後も魅力的な企業が続々と登録されていく予定である。Jelper Clubでは、魅力的な企業が続々と登録されており、J-Findビザを保持している学生も多く参加している。「Connect」や「Feed」の機能を活かし、Jelper Club内のコミュニティを活用することで、よりスムーズな就職活動を実現できるだろう。日々更新される募集要項の確認も怠らないことを推奨する。
(執筆:Jelper Club編集チーム)
出典・注記
1. 「優秀な海外大学等を卒業した者が起業活動・就職活動を行う場合(J-Find)」(出入国在留管理庁):https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities51.html
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